鮮やかに青色に染まる胡蝶蘭。特殊な染色を行い、生産段階から成長に合わせて着色していきます。今回は青色の胡蝶蘭、ブルーエレガンスの特徴や魅力について特集します。
青色の胡蝶蘭(ブルーエレガンス)とは
人工着色によって色付けた胡蝶蘭
白色の胡蝶蘭を生産段階で青色の染色液で着色し、花弁を内側から青く染めた胡蝶蘭の商品名です。植物が根から水を吸い上げる原理を利用し、水溶性の着色剤を与え、茎を伝って花を青色に着色させる方法を胡蝶蘭に応用したものです。
着色の方法にもよりますが、見た目の美しさは本物で、鮮やかに青く染まった胡蝶蘭の花は南国の青い蝶がひらひらと舞う姿を連想させます。
青色の胡蝶蘭(ブルーエレガンス)の魅力
花の中心からグラデーションがかかるように青く染まります
青色の胡蝶蘭(ブルーエレガンス)の花、一輪一輪の中央部に蕊柱(ずいちゅう)と呼ばれる花の中心部があります。この 蕊柱 を中心にグラデーションがかかるように青く染まるため、花びらに立体感が生まれ、面である胡蝶蘭の花弁がより立体的に美しく見えます。
色は 蕊柱 に近づけば近づくほど青色が濃くなり、花弁の外側に向かうにつれて薄くなっていきます。よく見ると花弁の中の太い導管の筋が無数に広がっている様子が見られ、細やかで繊細な生物の作りに生命の神秘を感じずにはいられません。
花弁の裏まで美しいブルーに染まります
染め上げられるのは花弁の表面だけではありません。茎も葉も根も美しくきれいに青色に染まります。(後述しますが、花だけを染色する方法もあります。)特に美しさが強調されるのが花の裏面。少し体をかがんでブルー胡蝶蘭の花の裏側をのぞき込んでみてください。花弁が裏側まで鮮やかにしっかりと青色に染まっている様子がうかがえます。染め上げ着色の魅力は植物の内側から花を染めること。美しいブルーを立体的にお楽しみいただけます。
青い蝶がひらひらと舞う姿を描写
「蝶がひらひらと舞う姿」のように見えることから「胡蝶蘭」という名前がついたともいわれています。青色の胡蝶蘭を例えるなら、「青色の蝶が舞っている。」ようにも見えます。熱帯でも希少とされる青色の蝶(モルフォチョウ)がひらひらと舞う姿を胡蝶蘭で描写していると考えれば、なんとも素敵なフラワーギフトであると言えることででしょう。
「鮮やか」で「珍しい」
時間をかけて一茎一茎丁寧に着色を行い、花の先端まで鮮やかな花色を演出させるためには、着色とはいえ時間と労力がかかります。このようにして生み出されたブルー胡蝶蘭が「珍しい」ものであることは言うまでもありません。着色の原液の色と花弁に映し出される色は一定ではなく、染色液の成分が導管を伝って花弁に到達した時に鮮やかなブルーになるように染色液を調合。「鮮やか」を人の手によって生み出します。
青色の胡蝶蘭の花言葉
「愛」「尊敬」が青色胡蝶蘭の花言葉
青色の胡蝶蘭の花言葉を調べると「愛」や「尊敬」という言葉が見つかります。企業のコーポレートカラーなどに良く用いられる青色は「信頼感」を心理的に印象づけるものと聞きます。「愛」や「尊敬」という花言葉を添えてブルーエレガンスの胡蝶蘭を送るシーンは企業間の花贈りにもピッタリとマッチしそうです。
青色胡蝶蘭ブルーエレガンスをお買い求めのお客様
ブルーエレガンスは正花園でご予約可能です
正花園でも青色胡蝶蘭(ブルーエレガンス)を購入することが可能です。ただし、お届け迄にお日にちを頂いております。そのため、弊社オンラインショップでのお取り扱いは行っておりません。ご了承ください。
また、エレガンスシリーズとして、ブルーエレガンス、パープルエレガンスなど多色でのご予約も可能です。正花園までお問い合わせください。
胡蝶蘭エレガンスシリーズ(花とみどりの相談室)
【相談02824】胡蝶蘭ブルーエレガンス3F
¥ 33,000(税込)
【相談02825】胡蝶蘭パープルエレガンス3F
¥ 33,000(税込)
どうやって作る?青色の胡蝶蘭
青く染まった胡蝶蘭を見て、多くの方がその鮮やかさや珍しさへの最初の感動に出会います。そして、多くの方が「どうやって作ったんだろう?」ということに興味を持つことでしょう。ここでは弊社が独自に調べた、青色の胡蝶蘭が出来るまでについて解説します。
(※こちらの方法については弊社が独自で理論(仮説)を作成、実験(検証)に基づいて行った内容を記載しております。)
青色胡蝶蘭の特許登録について
別サイトなどで青色の染め胡蝶蘭の特許があるという記事がありました。当社もこの記事を記載する上で様々な情報を調べましたが、2023年3月9日現在、特許庁のJ-PlatPatでの特許に関する有力な情報を得られませんでした。
門外不出の着色方法で染色を行う生産者さまはいらっしゃいます。当社でも商品を販売しており、非常に見事に染色が施されています。
(※当社が本ページを制作する上で独自に調べたものであり、情報に誤りがある場合はただちに訂正させていただきます。)
着色液の特性について
胡蝶蘭を着色させるための着色液選びは極めて重要です。また、着色は弊社独自の調査と実験によるものであり、実際に生産地で行っている着色方法とは異なる可能性があることをご承知おきください。
水性着色と油性着色
大きく分けて着色剤には水性のものと油性のものが存在します。胡蝶蘭を染めるためには水性の着色剤を使います。油性の着色剤には文字通り油の性質があり、導管に成分が付着してしまうからです。導管に付着し、固まることで、導管をふさいでしまい、着色はおろか植物の成分に影響を与えてしまいます。
水性着色剤で粒子の細かいものを選ぶ
次に水性の着色剤の選定についてです。水の粒子(H2O)よりも小さく、溶解するものを選びます。科学的に難しい説明になるので、例えば水溶液の代表的なものに食紅がありますが、食紅は粒子が少々荒くて導管が詰まりやすいです。(染まるには染まります。)
水性絵具は粒子が荒く、コロイド状(粒子の大きさが2~500ナノメートル程度)になってしまいます。染めるために絵具を使用するのはやめましょう。
水素イオン指数(pH)が水(中性)と一定であるものを選ぶ
水は中性でありpH7が近似です。胡蝶蘭も人間と同様ですが99%が水分によって形成されています。植物の導管を通る関係や植物が異常な状態にならないために、水溶性のもので中性(pH7)を選ぶようにしましょう。
着色液の吸わせ方
水溶液を根に散布させてもうまくいかない
胡蝶蘭の根っこの部分に直接散布することで、着色を試みる方法ですが、うまくいきません。胡蝶蘭の根は海綿状の組織に覆われており、その中に水を吸い上げる根の部分があります。海綿状組織は岩場などに張り付くための機能であり、着色液はこの部分から吸うことになりますが、粒子の関係か海綿状組織を突き抜けて染色を行うのは大変難しいです。
胡蝶蘭の茎部分に傷をつけそこから吸わせる
こちらの実験は理論上可能な方法であり、かつ最も実現性の高い方法であるため、現在当社でも実験中です。植物の茎に傷をつけ、傷の部分から着色液を流し込みます。胡蝶蘭は双子葉植物であり、導管が茎の中央部にありそこから水分を吸い上げる特性があります。導管に着色液が入り込むよう注射器などの細い管を使って着色液を流し込む実験です。
傷をつける前にカッターやナイフは十分に殺菌しておく必要があります。傷の部分から雑菌やウィルスが入り込むと病気になってしまいます。傷口は早めに乾かすか、殺菌剤を塗るようにする方がよいことが予想されます。
染め胡蝶蘭の注意点
着色部位から離れるほど着色が薄くなる傾向があります
根元の茎から着色液を吸い上げさせていることから、花の先端に近づけば近づくほど色がうすく水色や薄い水色になっていきます。特に花の先端の着色は難易度が上がります。
水やりを行う過程で少しずつ色が薄くなっていきます
ご鑑賞中に水やりを行うことで、植物体内中の青色の成分が薄れていき、最終的には白くなります。ただし、花が咲いている期間中に完全に色戻りすることはありません。また、株を育て再度花を開花させたときには白い花の状態になります。あくまで、開花した胡蝶蘭に着色をしたものをお考え下さい。
葉や茎にも青色の成分が含まれます
白色の花に着色をするため、青色の成分は特に花に映し出されやすいですが、実際には茎や葉も同様に着色されています。茎や葉には葉緑体の成分量が多いため、青色の成分は入っても全体的に緑色をしています。よく見ると緑色の中に青色の成分が混ざって、薄青緑色に葉や茎が見えますが染め上げの工程によるものですので、商品の品質が悪いということではございません。
DNA組み換え型の青色胡蝶蘭誕生
青色コチョウラン(BLUE GENE)
世界で初めて石原産業様が天然の青色を出すことに成功しました。花言葉は「奇跡のめぐり逢い」。正花園にも2023年上旬に初入荷いたしました。今後店頭販売が出来るよう取り組んでまいりたいと思っております。ブルージーン特集もぜひご覧下さい。